前回の続きからいくと。
結局手術は8時間かかりました。

患者さんの搬入が8時半。この時間に先生方は温度板回診なるものをしていて、9時前後に手術室へ。
外科医が行くまでに、麻酔科の先生が麻酔導入をしたり、オペ室の看護士さん(オペ看さんと呼んでいる)が患者さんや器械の準備をしています。

血管系の手術は感染がとても怖いので、首まで隠れる帽子をつけて、サンダル履きの足にもシューカバーをして肌の露出をなるべく減らします。

熟練すると2時間程度で終わる手術らしいのですが、今回は若い先生がやったので(もちろん熟練した医師の指導のもと)、3時間ちょっとかかりました。

動脈硬化がすすんで脚の付け根の血管がつまってしまった患者さんで、つまったところをバイパスする手術だったのですが、術中、末梢のほうもつまっている様子だったので、バルーンカテーテルを入れて塞栓を取り除いたりもしました。


そしてバイパスしたところの血流を確認し、手術終了としてガウンを脱いでから先生方がエコーでもう一度血流を確認。
そのあいだにオペ看さんたちはどんどん機械を片付け、患者さんは麻酔から覚め…

ん?

ずいぶん長いこと先生たちはエコーをしていて、あたしは所在なくオペ室の端っこに立っていたのですが、どうも様子がおかしい。

バイパスしたはずの脚に血流が行っていないようなのです。

もしかすると今入れたグラフト(バイパスのために使った人工血管)が塞栓で詰まったのかも、ということになり、再手術が決定しました。
末梢の塞栓は取ったけど、中枢側にも塞栓ができていた、ということでしょうか。

先生がご家族に説明に行き、戻ってきてもう一度手洗いし直し。
今度は動脈造影をしながらやるというので、放射線から自分を守る鉛のエプロン着用。これがなかなか重いのです。

機械を全部片付けてしまった(不潔野に置いてしまった)ために機械が足りず、手術が始まってからもオペ看さんたちは慌ただしく用意していました。血管系の手術に独特の機械などは、絶対数が少なかったりするようです。一度不潔にしたらもう一度滅菌しなきゃならないから手間がかかるんですね。
「何にもないですよ!」


せっかく閉じた傷を再び開けて、もう一度バルーンで塞栓をかき出します。
そしたら造影剤を流して血流があることを確認。
これを何度も繰り返して、脚全体の動脈の開通を確認し、血管を吻合しなおして傷を閉じ直す。
これに4時間かかって結局、朝から8時間たっていました。
先生もこんなことははじめてだと言っていましたが…、術後の経過は今のところ良好そうでよかったです。

もっともっと長いオペはいくらでもあるけど、あたしはお昼を食べ損ねるほどのオペははじめてでした。
手術中は疲れも空腹もあまり感じないんですが、終わった直後からの空腹感はハンパないです。


術中、あたしは吸引とか視野の確保をしていました。
先生が手術しやすいように、出てくる血を吸引したり、テープを引っ張ったり。
上の先生には、
君は一度言ったことをちゃんと覚えてできるねぇ、術者が何をしたいかよく見ている。
といたく褒められて恐縮でした。
君みたいな子は外科に行ったらうまくなるよ、とまで言っていただいてしまって。
しまいには若い先生に、「こーいう風にならないかん」
とまでいうのでなんだか申し訳なくて。

でも、前の科のときから
術者の気持ちをわかるようになりたい
とすごく思っていたので、これは嬉しいお言葉でした。

昨日はまたほぼ放置。午後に人工心肺についての講義がありました。人工心肺って、サイフォンの原理を利用して脱血してるんですって。
技士さんの質問にまさかの正解をしてしまって驚かれました。

今日は朝に講義があってあとは完全放置。

今からクラスメイトの家でクラス飲みです。

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